「戦略的十字路」
東南アジアは世界の主要なシーレーンが交差する戦略的十字路だ。インド洋と太平洋を結ぶマラッカ海峡、南シナ海——世界の海上貿易量の約25〜30%がこの地域を通過する。
10カ国が加盟するASEANは、この地域の多国間協力の枠組みだが、米中間で「どちらの側にも付かない」バランス外交を維持することに腐心している。
南シナ海:アジアの「火薬庫」
中国は南シナ海のほぼ全域(「九段線」内)に対して領有権を主張しており、フィリピン、ベトナム、マレーシア、ブルネイと激しく対立している。
2013〜16年にかけて中国は南シナ海の礁を埋め立て、人工島に軍事施設を建設した。2016年の仲裁裁判所の判決(中国の九段線主張を否定)を中国は受け入れを拒否している。
2023〜26年にかけてはフィリピンとの衝突が頻発しており、南シナ海は最も地政学的リスクが高い海域の一つだ。
ASEANのジレンマ
ASEAN諸国の最大の貿易相手は中国であり、経済的には対中依存が深い。一方、南シナ海問題では米国の関与を必要とする。この「経済は中国、安全保障は米国」というジレンマが、ASEANの「戦略的自律」を難しくしている。
マラッカ海峡沿岸国(マレーシア、インドネシア、シンガポール)は、中国の海洋進出と米国の軍事プレゼンスの双方を慎重にバランスさせながら、経済成長を追求している。