ロシアの地政学的自己認識
ロシアは「ハートランド」の中核として、マッキンダー的な世界観——ユーラシアの心臓部を支配する国家が世界を制す——を体現しようとする国家だ。プーチンはじめロシアのエリートは、旧ソ連圏を「近外国(Near Abroad)」として自国の勢力圏と見なし、そこへの西側の「侵入」を安全保障上の脅威と認識する。
ウクライナ後のロシア
2022年のウクライナ全面侵攻は、ロシアの国際的孤立と経済的打撃をもたらした一方、軍事的にはロシアが相当な継戦能力を持つことを示した。西側の制裁はロシア経済を傷つけたが、中国・インド・グローバルサウスとの貿易拡大によって一定程度補完された。
ロシアはウクライナ戦争の長期化を見据え、中国への依存を深めながらも、「多極世界」の一極としての地位を維持しようとしている。
中央アジアの地政学
中央アジア5カ国(カザフスタン、ウズベキスタン、タジキスタン、キルギス、トルクメニスタン)は、ロシアと中国の「大国競争の場」だ。
カザフスタンはカスピ海沿岸の豊富な石油・天然ガスを有し、経済的には中国向け輸出を増やしつつも、ロシアの影響圏にある。2022年のカザフスタン騒乱にロシア軍が介入したことは、ロシアが「近外国」での軍事行動を躊躇しないことを示した。
中国はSCO(上海協力機構)と一帯一路を通じて中央アジアへの経済的影響力を拡大している。かつてのロシアの「庭」が、中国のプレゼンスで塗り替えられつつある。