中東:永遠の「火薬庫」
中東が地政学的に重要な理由は明確だ。世界の確認石油埋蔵量の約45%と天然ガスの約40%がこの地域に集中している。さらに、ホルムズ海峡、スエズ運河、バブ・エル・マンデブ海峡という世界の三大チョークポイントのうち二つがこの地域に位置する。
エネルギー地政学の中心
サウジアラビア、UAE、クウェート、イラク、イランというOPEC諸国は、世界のエネルギー市場に絶大な影響力を持つ。OPECプラス(ロシアを含む産油国グループ)の増産・減産決定は、世界経済を揺るがす。
2022〜23年のロシアのウクライナ侵攻後、エネルギー安全保障の重要性が再認識され、米国とサウジの「石油の安定供給と引き換えの安全保障保証」という長年の取引(ペトロダラー体制)が揺らいでいる。
スンニ・シーア対立の構造
中東の宗教・政治対立の基本構造は、スンニ派主導のサウジアラビアとシーア派の盟主イランの対立だ。両国はイエメン、シリア、イラク、レバノンで代理戦争を繰り広げてきた。2023年の中国仲介による国交正常化合意は、この構造に変化の兆しをもたらしたが、根本的な対立は続いている。
イスラエルと地域安全保障
イスラエルは推定200発以上の核弾頭を保有するとされる(核の曖昧化政策により公式には認めない)。中東唯一の核保有国として、またイランの「核プログラム」に対する最前線の対抗者として、地域安全保障の重要な変数だ。
2023年10月のハマスによるイスラエル攻撃とその後のガザ侵攻は、地域全体の緊張を急激に高め、イランの代理勢力(フーシ派、ヒズボラ)の活動を活発化させた。